(8)横利根川と横利根閘門

横利根閘門

茨城県稲敷市と千葉県香取市の県境となる横利根川は、古くから釣り、それもヘラ鮒釣りのメッカとして全国的に知られています。シーズンとなると、地元はもちろん他県からも大勢の太公望が集まり、川面を埋め尽くします。いまでも船宿が多くあり、地元の方によると、戦前はかなりの高名な方も宿泊されていたようです。
横利根川は流路延長約7.5km、幅約50m、水深約40mほどの川で、江戸時代の新田開発に伴い自然にできたと言われ、利根川の増水時には横利根川を通った水が霞ヶ浦沿岸に氾濫をもたらしていました。そこで利根川と霞ヶ浦を分断するため、また増水時にも舟運に支障がないようにするために造られたのが横利根閘門です。

横利根閘門

1914年(大正3年)に着工し、7年の大工事の末1921年(大正10年)に完成したこの水門は、パナマ運河と同様の構造を持ち、船が進入したら前後の閘門を閉め、水位を調整してから航行するもので、現在も開閉は可能です。治水・水運両面で活躍した水郷地方を代表する重要な建造物であり、2000年(平成12年)には煉瓦造閘門のひとつの到達点を示す近代化遺産として重要文化財に指定を受けています。地元の方によると、かつては閘門の扉の上を歩いて渡り大橋に向かったそうで、狭くて怖かった思い出があるとのことです。今、閘門周辺は横利根閘門ふれあい公園として整備され、サクラの名所、釣りの名所として憩いの場になっています。2006年(平成18年)には日本の歴史公園百選に選定されています。

横利根閘門

横利根川沿いの砂場・荒川地区(北佐原地区)の水路では、大正十年の夏にホタルエビ(光るエビ)が発見されました。ある種の発光細菌(バクテリア)がヌカエビに寄生して発光するものであることがわかり、昭和9年には国の天然記念物にも指定されましたが、残念ながら今日では見ることはできません。その原因として、光るバクテリアが塩分の混じる汽水域でしか存在できないため、東庄町にできた止水堰(潮止め)の影響が考えられるほか、水質汚染や水路の整備等で環境が変化したことが考えられます。
土地改良前の水郷地域エンマの水は、米を炊いたり風呂に使ったりと、生活水としても使われていたほどきれいであったようです。