(10)十六島の河童

十六島の河童

十六島の中ほどにある静かな浦、与田浦。ほとりには、水の事故の危険を伝える『あぶない』と書かれた河童の立札が立っています。この辺りでは7月頃、きゅうりの初物が採れると家の近くの川(エンマ)に投げて河童に供え、子供が川で泳いで遊んでいても引き込まれたりしないようにする習わしがあったそうです。

十六島の河童といえば、高安家に伝わる膏薬『十三枚』が、河童が伝えた妙薬として知られています。言い伝えによると、先祖が骨折や打撲・捻挫に与田浦の藻が効くというので毎日取りに出かけていくと、浦にすむ河童が感心して練り薬の作り方を教えてくれたものだそうです。

十六島の河童

薬効の評判は江戸にも届き、怪我で難儀していた相撲取りが来て一日1枚ずつ張り替え13日めで治すことができたことから、この薬は『十三枚』と呼ばれるようになったと言われています。高安家において昭和40年代まで製造出荷された膏薬で、自宅内に設立した「本世堂病院」で診療にあたり、この受診の便のために当時の佐原・潮来間の定期船では高安家の門前に停留所が設けられたり、「病院船」と呼ばれる通院専用の直行便が津宮(鳥居河岸)から高安家まで運行されるなど、地域住民の支持を集めていました。病院は15代(明治14年生)・16代(明治45年生)が当主であった時期に開かれ、現在は開業はしていません。